幅が数十キロから100キロにも及ぶ、発達した巨大な積乱雲。激しい雨やひょう、竜巻などをもたらすこともある。通常の積乱雲は、暖かくて湿った空気が上昇気流となり、高さ1万メートル以上の背の高い雲となって、その中に雨雲が発生し、雨やひょうが降ることで下降気流が生じるため、積乱雲は1時間程度で消滅する。しかし、幅が大きいスーパーセルの場合は、上昇気流と下降気流が別々の場所で発生するために消滅するまでの時間が長く、強い勢力を長時間持続する。アメリカでは10時間前後も続いたケースが知られている。また、スーパーセルの内部にはメソサイクロンとよばれる小さな渦が発生することが多く、これが竜巻の一因とみられている。スーパーセルの勢力が持続すれば、そこで発生する竜巻の威力も強くなりやすい。2012年5月6日に茨城県、栃木県などで発生し甚大な被害をもたらした竜巻について、気象庁は、幅約10~20キロ、高さ約12~13キロと推定されるスーパーセルによって、ほぼ同時に三つの竜巻が発生した可能性が高いと発表している。