地震で生じる地表の上下の震動は、加速度の大きな地震では、上向きにより強く揺れるという現象。防災科学技術研究所が、2008年6月の岩手・宮城内陸地震の加速度の波形の分析から世界で初めて発見し、08年10月発行のアメリカの科学誌に発表した。地震における加速度とは、瞬間的な揺れの強さを示し、一般に波動はほぼ上下対称となる。しかし、観測史上最大の4022gal(ガル)が確認された岩手・宮城内陸地震では、地中での波動はほぼ上下対称だった一方で、地表では上向きの振幅が下向きの2.2倍以上も大きい非対称性を示した。防災科学技術研究所ではこの現象について、大きな加速度のために、表層付近の地盤が元の状態に戻ろうとする性質を保てなくなり、部分的に土砂のような動きをしたとするモデルを提唱。沈み込んだトランポリンが反発力で人間に大きな力を加える一方で、宙に浮いている人間は下向きの重力の力しか受けないことに似ているとして、「トランポリン効果」と命名した。現象の発生する条件などについての研究が進めば、建築物の耐震性の向上に役立つと期待されている。