290万~210万年前に生息していたとみられる、日本の古代ゾウの一種。化石が東京都八王子市で発見されたことから、この名で呼ばれる。化石を発見した相場博明慶應義塾幼稚舎教諭の論文が、世界的に権威のあるイギリスの古生物学会誌「パレオントロジー(Palaeontology)」に掲載され、新種として認められた。学名はステゴドン・プロトオーロラエ(Stegodon protoaurorae)。日本国内で古代ゾウは10種ほど確認されているが、新種が加わるのは半世紀ぶり。相場教諭は2001年12月、八王子市の北浅川河川敷で臼歯2本と牙2本の化石を発見。02年7月には大規模な調査を実施し、約230万年前の地層から、臼歯や大腿骨など計約30点を発見した。これまで日本では、400万~290万年前の地層から体高約3メートルのミエゾウ(学名ステゴドン・ミエンシス:Stegodon miensis)、200万~100万年前の地層から体高約2メートルのアケボノゾウ(学名ステゴドン・オーロラエ:Stegodon aurorae)の化石が出土している。相場教諭は、臼歯の大きさや歯の中の溝の数などが中間の特徴を持つことから、ハチオウジゾウはミエゾウがアケボノゾウに小型化していく過程の新種である、と結論づけた。