東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)による東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、気象庁が国際原子力機関(IAEA)に提供している、放射性物質拡散のシミュレーション。IAEAの指定条件に基づき、原発上空20~500メートルに、1ベクレルのヨウ素131が72時間放出されたと仮定して、3月11日より毎日1~2回計算している。具体的には、(1)大気の流れに沿った放射性物質の6時間ごとの動き、(2)地上から標高500メートルまでの大気中の濃度分布、(3)地上への降下量の3種類の資料を作成する。非公開としてきたことへの批判が高まり、4月5日、気象庁ホームページで「IAEAの要請により作成した放射性物質拡散のシミュレーション資料について」と題して公開された。なお、この資料はあくまでシミュレーションのため、同庁では、(1)実際に観測された放射線量等は反映されていないこと、(2)100キロ四方と粗い分解のため避難活動等の判断には適していないこと、(3)別途緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)や、各地の放射線モニタリングデータを参照することなどを強調している。