駿河湾から日向灘にかけて水深約4000メートルに存在する南海トラフ(浅い海溝)による東海地震、東南海地震、南海地震が連動して起きた場合の、想定される最大級の地震のこと。2012年3月31日、内閣府の有識者会議、「南海トラフの巨大地震モデル検討会」(座長・阿部勝征東京大学名誉教授)が、東日本大震災なみの最大震度マグニチュード9.0(津波は9.1)を想定し、予測される最大の津波高(満潮時)と震度分布の推計を公表した。その発表(http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai_trough/15/index.html)によれば、03年9月の推計に比べ、津波の高さは約2~3倍となり、高知県黒潮町の34.4メートルを筆頭に、静岡県下田市と南伊豆町で25.3メートル、愛知県豊橋市で20.5メートルなど、11都県90市町村で10メートル以上となった。また、震源がごく近いため、自動車が流されるなど人命にかかわる高さ1メートル以上の津波が到達するまで、地震発生から最短2分の地域も静岡、和歌山、高知の一部で予測された。最大震度が7と予測される地域は静岡や愛知、高知など10県153市町村で、震度6強以上となる地域は21府県395市町村の約2万8000平方キロと、従来の5.6倍に拡大した。これらの津波高と震度は、最新の科学的知見に基づき、備えるべき最大値として公表されたもので、これらの被害が一度に発生することは実際には考えられないとされる。ただし、例えば、静岡県御前崎市にある中部電力浜岡原子力発電所には、最大高さ21メートルの巨大津波が到来すると予測され、12年末までに新設する予定であった18メートルの防波壁を3メートル上回ることが判明するなど、各自治体や企業の地震・津波対策の見直しが迫られている。