月は地球の周囲を楕円軌道で公転している。そのため、楕円の長いほうの径、すなわち長径の位置に来るときには地球からもっとも離れることになり、これを遠地点(apogee)といって、地球との距離は約40万6000キロになる。いっぽう、短いほうの径、すなわち短径の位置に来るときには地球にもっとも近づくことになり、これを近地点(perigee)といって、地球との距離は約36万3000キロになる。月の公転周期は27.3日で、満ち欠けの周期は29.5日とわずかな差があるため、およそ14カ月に一度の割合で、月が近地点に来るタイミングと満月になるタイミングとが合致することがある。このときの満月は、ふだんよりも大きく明るいことから、この状態の月、あるいはその現象自体をスーパームーンという。日本時間の2012年5月6日には、地球と35万6955キロまで接近し、ふだんの満月より14%以上大きく、30%以上明るい輝きをみせて話題になり、その前年の11年3月20日には、過去18年中もっとも近い35万6577キロまで接近している。このように、近地点の距離に多少の違いが生じるのは、地球も太陽の周りを楕円軌道で公転しているほか、月が地球以外の天体からも、そのときどきの位置関係に応じた引力を受けていることによる。また、月にまつわる神秘的な話題は数多く、スーパームーンの場合も自然災害が起こるとのうわさがあるが、意味のある根拠は見当たらない。