NECが開発した、蛍光灯の光から「電磁誘導」によって電力を得て動作し、撮影データを無線送信するカメラ。電磁誘導とは、(1)磁界の中でコイルを動かしたり、(2)逆にコイルの近くで磁石を動かしたりするときに、コイルに電気が流れる現象をいう。グロー球を使う従来の蛍光灯は、1秒当たり100~120回という、肉眼でも感知できるような遅い明滅を繰り返すものだった。しかし、昨今浸透してきたインバーター回路を用いると、1秒当たり数万~10万回の明滅をなし、自然な明かりを得ることができる。この明滅は電気が振動する回数に基づくもので、同時に電気は振動のたびに磁界を作りながら流れている。つまり、1秒当たり、数万~10万の磁石が動いていることに相当し、ここに適切なコイルを設置すれば、上記の(2)に当たる電磁誘導を利用して電気を得ることができる。同社はこの点に着目し、コイルを仕込んだ小さなリングを蛍光灯の端にはめておくだけで、電力を得られる技術を確立。2007年11月29日には、この技術を使った無線カメラの開発を発表した。今まで、防犯カメラなどの設置には、電力供給と撮影データを送信するための配線工事が必要であったが、この無線カメラではどちらの工事も行う必要がない。蛍光灯やインバーターの性能によって得られる電力には差が出るが、電力が少なければ、撮影の間隔を長くして、消費電力を自動調整するような機能も持ち合わせている。