ジェット機などのパイロットの操縦について、マルチクルーオペレーション(multi-crew operation 2人以上の操縦士による運航)に特化したライセンス(免許)。航空会社の乗員の養成は、アメリカなどを除き、アジアとヨーロッパの航空会社では自社養成しているが、操縦士の訓練はICAO(国際民間航空機関)のICAO標準ライセンス制度に準拠している。日本でも航空法(1952年)に基づき、これに準拠して操縦訓練は1人乗りのプロペラ機体から始めて、段階を経て2人乗りの大型機体へ移行する必要があった。しかし現代の旅客機のほとんどがマルチクルー(2人制)による機材編成であることから、ICAOでは2006年にMPL制度を導入。MPLは、1人用の小型機による訓練を大幅に短縮して、フライトシミュレーター(模擬操縦訓練装置)などを使い、最初からマルチクルー用のジェット機で副操縦士としての経験を積ませ、技能試験に合格すれば与えられる資格である。これまで副操縦士になるには入社して通常3年間ほど要するところを、2年から2年3カ月で養成することが可能となる。日本では、羽田空港の発着枠の増加が見込まれるとともに、団塊世代パイロットの退職とも重なり、大幅なパイロット不足が予測される。10年2月末、航空法の改正案が国会に提出されたことから、改正法の成立により、新たなパイロットの資格が新設されることになる。ICAO(International Civil Aviation Organization 国際民間航空機関)は国連の専門機関の一つで、国際民間航空が安全に発展して、国際航空運送業務が健全で経済的に運営されるように、運航・管制方式について審議などを行っている組織である。