ミズナラやコナラなどの広葉樹の集団枯死の通称。毎年7~8月に多く発生する。甲虫のカシノナガキクイムシ(カシナガ)が運ぶラファエレラ・クエルキボーラというカビ(通称、ナラ菌)によって引き起こされる。カシナガは繁殖のために集団でナラの樹幹内部に入り込むが、このとき雌のカシナガが胞子貯蔵器官に持っているナラ菌が表皮に近い辺材に侵入して拡大、樹幹の栄養を吸収していく。菌が感染した樹幹の細胞は死滅し、根から吸収した水を枝葉まで運ぶ導管をふさぐため、水不足によってナラは枯死してしまう。枯れたナラで成虫となったカシナガは、翌年の夏にナラ菌を持って次の健全なナラに飛来する。ナラ枯れ被害の拡大は1980年代末ごろから日本海側の地域を中心に起きており、原因は薪炭用山林が放置され、高樹齢化が進んだためと言われている。カシナガは高齢の大径木を好むため、40~70年という樹齢の広葉樹の増加とともにカシナガの繁殖も拡大している。林野庁の調べによると、2009年には23府県で23万立方メートルに被害が出ており、さらなる拡大が懸念されている。