2011年10月5日、スウェーデン王立科学アカデミーは、11年のノーベル化学賞をイスラエル工科大学のダニエル・シェヒトマン(Daniel Shechtman ダン・シェヒトマン〈Dan Shechtman〉とも)特別教授に贈ることを発表した。受賞理由は、準結晶(quasicrystal)を発見した功績による。物質が固体の状態にあるとき、通常は、原子が周期的に配列された結晶(crystal)と、ガラスのように原子の配列が乱れたアモルファス(非晶質 amorphous)の二通りの構造しかありえないと考えられてきた。しかし、1982年、シェヒトマンは、急冷によって得たアルミニウムとマンガンの合金を調べ、原子の配列が規則的であるにもかかわらず周期性はみられないという物質を発見し、これを84年に発表した。これまでになかった「準周期的」な規則構造をもつことから、後に別の研究者たちによって「準結晶」と名付けられた。その後、準結晶の構造をもつ物質は、自然界も含め、主に3種類の元素を含む合金の中でいくつか発見され、今日では「第三の固体」として認知されるようになっている。授賞式は12月10日にストックホルムで行われ、賞金の1000万スウェーデン・クローナ(約1億1000万円)が贈られる。ノーベル化学賞は、ノーベル賞6部門のうちの一つで、化学の分野で功績のあった人に贈られる。ノーベル賞のうち物理学賞と化学賞、経済学賞はスウェーデン王立科学アカデミーが選考する。