2008年6月にアメリカ航空宇宙局(NASA)が打ち上げた国際ガンマ線天文衛星GLASTの新しい名称。NASAは、この衛星が約2カ月間の性能検査を終えて観測を開始するにあたり、初期観測で得られた全天地図を公開し、衛星の名を高エネルギー物理学の開拓者であり、ノーベル物理学賞を受賞したエンリコ・フェルミの功績をたたえて命名した。日本、アメリカ、イタリア、フランス、スウェーデン、ドイツで共同開発され、日本からは、広島大学、東京工業大学、東京大学、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の宇宙科学研究本部 (ISAS) の研究者が参加している。これにより宇宙からのガンマ線を、高感度、広視野、高位置分解能で、連続して観測することが可能になった。ガンマ線は電磁波の一種で、可視光線に比べると100万倍の高エネルギーを持ち、ブラックホールや中性子星、超新星の残骸(ざんがい)などから放出されている。超新星残骸による物質の加速や宇宙で最も巨大な爆発であるガンマ線バーストなど、多くの宇宙の謎を解明する手がかりになると期待されている。