ウナギは南北アメリカの太平洋岸と南アメリカ中・南部の大西洋岸、アフリカ中・南部の大西洋域を除く世界各地に分布し、19種類が確認されている。ニホンウナギはそのひとつで、日本の本州から北ベトナムにかけての東アジアの海域に生息する。毎年5~9月にマリアナ諸島付近で生まれ、黒潮に乗って日本近海まで約3000キロを回遊しながら、シラスウナギと呼ばれる稚魚から、1メートル程度の成魚へと成長する。東京大学大気海洋研究所と水産総合研究センターが、日本から約2500キロ離れたマリアナ諸島沖において、世界で初めて天然ウナギの卵の採集に成功。2011年2月1日付のイギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に研究成果を掲載した。採集は09年5月に行われ、遺伝子などの分析の結果、産卵から1日後のニホンウナギの受精卵であると断定するに至った。この発見により、ニホンウナギの産卵場の場所や、産卵のタイミングなどを厳密に特定できるようになった。近年、天然ウナギの漁獲量は世界的に減り続けており、この発見によって得ることができる知見が、完全養殖の実用化に向けての大きな一歩になることが期待されている。