オーストラリアのアマチュア天文家、テリー・ラブジョイが2011年12月2日に発見した彗星。正式名称は「C/2011 W3」で、太陽の極めて近くを通過する軌道を持つクロイツ群(Kreutz family of sungrazing comets)に分類され、12世紀に分裂した大型彗星の破片と考えられている。彗星本体は氷と塵(ちり)の塊であるため、太陽に接近しすぎると、数百万度もある太陽のコロナ(高層大気)の影響を受けて燃え尽きることになるが、ラブジョイ彗星は11年12月15日、太陽に最接近しながらも、天文学者の予想に反して消滅せずに通過したことが、複数の衛星によって観測された。この「生還」の瞬間を捉えた映像がNASA(アメリカ航空宇宙局)によって公開され、大きな話題を呼ぶところとなった。太陽表面から約12万キロ(地球と月の距離の約3分の1)の位置にまで接近したとみられるラブジョイ彗星が、なぜ消滅しなかったのか、原因についてはわかっていない。