名古屋市を南北に縦断する可能性がある2本の活断層。名古屋大学大学院環境学研究科の杉戸信彦研究員と広島大学大学院文学研究科の後藤秀昭研究員が、2012年11月16日、京都大学で行われた日本活断層学会の12年度秋季学術大会で発表。名古屋市内の活断層は、1996年、あるいは2002年にその存在が推定されたが、詳しい検討はされてこなかった。今回杉戸研究員らは、航空写真や航空レーザー測量のデータ等に基づき地形の変動を解析。加えてこれまで調査された地質学、地球物理学の資料を再検討することで、推定活断層周辺の地層深度に大きなズレを確認。これが河川による浸食などによるものでないことから、活断層の可能性が高いと結論づけた。名古屋城の西を通り、名古屋駅の東から東海道線、新幹線を横切って南へ延びる断層を「堀川断層」、名鉄尼ケ坂駅付近から名古屋城の東側を通り、名古屋高速1号楠線に沿うように南下して、名鉄鶴舞駅付近へ延びる断層を「尼ケ坂断層」と名付けた。現状確認できるのは各10キロほどだが、さらに北側へ延びる可能性もあるという。杉戸研究員は、「マグニチュード7かそれ以上の大地震を起こす恐れもあり、詳しい調査が必要」としており、主要交通機関を含む市の中心部を縦断するだけに、県や市の防災対策にも影響が出る可能性がある。