変動地形は、地殻変動によって形成された地表面の起伏や地面のずれ、変形などのことで、変動地形学とは、この変動地形に注目して、地形の構造や成り立ちなど、地球内部の運動を解明する学問。地表面が形成されるのは数十万年前より新しいことが多く、研究対象年代も一般的に数十万年前から数万年とされる。地殻変動に関連して、地震の規模や発生頻度なども研究の対象として扱われ、また、地下の活断層特定にも変動地形学の手法が使われる。活断層は地下に埋没している場合が多く、地表に断層構造が露出している事例は少ない。従来の地質学の調査では掘削調査を行い活断層を特定する。これに対して、変動地形学の手法では、断層運動は地形のたわみや河川の屈曲を生み出すところから、航空写真や地表調査を通じてこうした地形や表層の地質の特徴を分析し、その下にある活断層の存在を明らかにする。日本では、変動地形学の手法は1980年代には確立されたが、95年の阪神・淡路大震災以降、活断層と地震の関係が注目されるようになって調査が本格化し、全国で2000を超す活断層が見つかったとされる。ただし、国の原子力規制当局や電力業界は、原子力発電所の立地評価に変動地形学による活断層調査を取り入れなかった。2012年に話題となった、敦賀原子力発電所や東通原子力発電所敷地内の活断層評価判定では、12年9月に発足した原子力規制委員会のもとで、現地調査に変動地形学の専門家が多く加わり、変動地形学の手法で評価が行われたことが、活断層の存在を認める判定につながったとされる。