通常の鏡と違い、左右が反転する鏡で、株式会社ヤマムラが製品化している。鏡に映る自分の姿は、他人が見ているそれと左右が逆転しているわけだが、人間の顔は、もともと左右が対称にはなっていない。そのため、たとえば、鏡を見ながら髪を整えたり、メークをしたりしても、その顔は、他人が見る本当の自分の顔ではない。つまり、左右が逆転している顔に似合ったメークをしても、それが他人から見たときに最適のメークであるとは限らないのだ。そこで、入射した光を、その入射角度と同じ角度で反射させるという、鏡の性質を利用して、2枚の鏡を向かい合うように直角に張り合わせることで、像の左右を反転させることができるようになる。たとえば、2枚の鏡のうちの左側の鏡に入射した光は、そこで左右反転を起こしつつ反射し、右側の鏡に入射することになるが、さらにそこでも左右反転を起こして、最初に光が入射してきた方向に向かって反射する。つまり、左側の鏡に届いた像は、そっくり左右反転して、右側の鏡に映されることになる。これと同じことが、右側の鏡でも起こるわけであるから、結果として、全体的に左右が反転した像を得ることができる。合わせ鏡のような効果となるため、ゆがみなく自分の顔を反転させて映すためには真正面に位置する必要があるが、鏡の角度を変えて調整することもできる。