カエルやサンショウウオなど両生類や魚類に感染し、カエルツボカビ症と並んで両生類の大量死を引き起こす原因とされるウイルス。ラナウイルスは、両生類のウイルス感染症のほとんどが含まれるイリドウイルス科に属し、日本ではマダイイリドウイルスが1990年の夏から秋にかけて四国の養漁場で発生した。スズキ目を中心に31種の魚が被害を受け、マダイの大量死を引き起こしたが、2007年時点までは両生類のイリドウイルス感染症(ラナウイルス感染症)は未確認であった。しかし08年9月、ウシガエルの大量死の発見をきっかけに、ラナウイルスが国内で初めて確認された。カエルツボカビはオタマジャクシには感染しないが、ラナウイルスはオタマジャクシから変態する過程で感染したものと見られている。ヒトには感染しないものの、両生類のみならず魚類、は虫類にも感染し、水を介して感染が広がる危険性が高い。北アメリカではラナウイルス感染症がカエルの死因の43%を占め、カエルツボカビ症の16%を大きく上回ることから、国際獣疫事務局(OIE Office International des Epizooties )では報告を義務付ける感染症に指定し、08年に注意を呼びかけている。