ヨーロッパやアジア、アメリカの北方針葉樹林に生息する小型のキツツキ。全長約22センチで、足の親指にあたる第1指がなく、3本指なのが特徴。羽毛の色は黒と白で、黒い背中部分の中央から腰にかけては白く、腹部も白くてわきに黒い縞がある。多くのキツツキの頭頂部は赤いが、ミユビゲラの雄の頭は黄色で、雌の頭は黒い。日本に生息しているのは固有の亜種で、北海道中央部の山岳地帯でのみ確認されているが、環境省のレッドデータブックでは、ごく近い将来に絶滅する危険性がきわめて高い、絶滅危惧種1Aに判定されている。ミユビゲラは1942年に北海道十勝の大雪山国立公園で発見されてから9回しか目撃されておらず、88年に雌が確認されたのを最後に「幻のキツツキ」とされてきた。2010年7月、民間の調査団体、北方森林鳥類調査室と岩手大学農学部保全生物学研究室による共同調査で、複数の雄のミユビゲラが、大雪山国立公園内に生息していることが確認された。共同調査では、06年にミユビゲラを確認してから4年にわたり、毎年調査を実施。3カ所の生息域を確認し、求愛のために木などをつつく「ドラミング」や縄張りの誇示、えさ取りなど、生態の動画撮影に国内で初めて成功した。