清水建設と田所諭東北大学教授、および同教授が代表を務めるNPO国際レスキューシステム研究機構が開発した被災建物内探査システムで、2013年2月28日に発表された。ヘビのようなロボットを遠隔操作し、地震などによって倒壊した建物のガレキの隙間をかいくぐり、その内部を撮影する。システムは、(1)直径約70ミリ、長さ10メートルのスコープカメラからなる探査ユニットと、(2)これを目的の場所へ導くための駆動ユニット、(3)そしてこれら二つのユニットの制御や通信を行う動力・制御ユニットの、三つのユニットで構成されている。荷重による二次崩壊を防ぐために、使用に際しては、ユニット全体をクレーンでつり下げて、倒壊した建造物の上まで移動させ、カメラ映像を見ながら(2)の駆動ユニットで(1)の探査ユニットの先端をガレキの開口部まで誘導し、スコープカメラを上から挿入する。このスコープカメラはナイロン製の繊毛で覆われており、これに振動を加えることで推進力を得ることができ、先端の近くに設けた二つの関節機構で首振りをすることで、進行方向をコントロールする。また、先端に線量計やドリルなどを装備すれば、事故収束作業を進める福島第一原子力発電所の原子炉建屋内の調査にも対応させられる。今後は、探査している場所の位置情報を検出する機能を加えたり、耐久性を向上させたりしたうえで、1年以内の実用化を目指すという。