ともに大阪大学の浅田稔教授らのグループが開発した、認知発達研究用のヒト型ロボット。学習プログラムの実証実験を行うためのロボット・プラットフォームに位置づけられ、JST(科学技術振興機構)目的基礎研究事業の一環による成果として2010年3月3日に発表された。M3-neonyは身長約50cm、重量約3.5kgの赤ちゃん型ロボットで、頭部に2台ずつのカメラとマイクロホンを搭載し、全身に90個の触覚センサーを配置することで、視覚と聴覚と触覚を再現。胴体には姿勢を感知するためのセンサーを搭載しており、乳幼児特有の寝返りや四つんばいなどの動作を22個のモーターを駆使して模倣させることで、体の各部位の構成や適切な動きを獲得していく。さらに、人の顔や音声、あるいは物体、それらとの接触など、外部からの刺激を認識・学習していく過程を通じて、赤ちゃんの運動学習や認知発達を研究するものとなる。一方、M3-synchyはスピーカーによる発話に加えて、目の動きによるアイコンタクトやLED(発光ダイオード)によるほおの紅潮といった表情作り、あるいは17個のモーターによる身ぶりを交え、複数のロボットや人との間に言語的・非言語的な集団コミュニケーションを成立させるコミュニケーションロボット。身長約30cm、重量約2.3kgの車輪移動型で、頭部に1台のカメラと2台のマイクロホンを搭載することにより視覚・聴覚の認識機能をもたせ、社会的コミュニケーション能力の学習や発達を研究するものとなる。どちらのロボットも、汎用のロボット用モーターと教材用の制御マイコンを採用し、開発性やメンテナンス性、操作性に優れ、研究目的に合わせた学習プログラムの設計にも対応する。人間の学習や発達に関する理解をより深めることにつながり、同時にコミュニケーション能力を発達させながら人間社会に適応するロボットの開発に貢献することが期待される。