寒冷地や高地の雪や氷の表面で繁殖する藻類を、氷雪藻(ひょうせつそう)あるいは雪氷藻(せっぴょうそう)と呼ぶが、その中でも赤い色をした藻の繁殖によって雪がスイカのように赤く見える現象。そのためウオーターメロン・スノウ(watermelon snow)とも呼ばれる。藻の色によって、緑雪や黄雪もある。海で、赤いプランクトンの繁殖によって赤潮が起こるように、雪解けの時期、雪の間の水分と栄養とによって藻が繁殖して起こる。古くは、古代ギリシャの哲学者アリストテレス(Aristoteles BC384~BC322)の時代にも記述が見られる。アラスカ、南極、ヒマラヤ山脈、アルプス山脈など、世界中の雪渓や氷河で見られ、日本でも尾瀬や北アルプスの立山などで観測されている。2012年7月、アメリカ航空宇宙局(NASA ナサ)が人工衛星の観測データから、グリーンランドの氷表面の97%が解けていると発表。同じく7月、文部科学省が派遣した、国立極地研究所や気象庁気象研究所、大学などの研究者で組織する日本の観測チームが、グリーンランドのカナック氷河で、これまであまり見られなかった赤雪を確認した。気温の上昇で藻が大量発生した結果としている。また千葉大学理学部地球科学科の竹内望教授は、赤雪が白い雪より多くの太陽光を吸収することから、氷河の融解を加速させる可能性を懸念している。