地球上約400kmの上空に建設中の国際宇宙ステーション(ISS)に設置される日本の宇宙実験棟。開発は日本が担当し、宇宙飛行士が長期間活動できる日本では初めての有人施設。船内実験室、船外実験プラットフォーム、船内保管室、船外パレット、ロボットアーム、衛星間通信システムの6つの要素からなり、スペースシャトルで3回に分けて運ばれる。2008年3月11日、土井隆雄宇宙飛行士が搭乗したミッションで運ばれた船内保管室は、外形4.4m×長さ4.2mの円筒形で、同月14日17時58分、ISSのハーモニー(第2結合部)に設置され、検査の後、同日に起動し15日に土井宇宙飛行士が初めて入室した。船内保管室は、08年5月26日に星出彰彦宇宙飛行士が搭乗するミッションで運ばれる船内実験室(外形4.4m×11.2m)に取り付けられて運用される。続いて09年12月以降に予定されているミッションによる船外実験プラットフォームの設置で、「きぼう」モジュールの組み立ては終え、このミッションに搭乗する若田光一宇宙飛行士が、日本人宇宙飛行士として初めて長期滞在クルーとして3カ月間滞在し、さまざまな実験を行うことになっている。当初、「きぼう」の建造は06年からであったが、ISS自体の建設の遅れ、スペースシャトル・コロンビア号事故などによって大幅に遅れ、計画発足時には大きな期待が寄せられた「無重力実験」の多くは、地上でも可能となるものが少なくない。「きぼう」が要した建設費総額は約1兆円、今後の維持費は毎年400億円とされるが、アメリカの新宇宙計画では、ISSの引退が2015年と予定されており、「きぼう」の寿命は長くない。