1991年9月にアメリカ航空宇宙局(NASA)がスペースシャトル「ディスカバリー」で打ち上げた、高空のオゾン層などを調査するための衛星。地上から高度580キロ付近を周回しながら大気観測を続けてきたが、2005年12月に運用を終え、総重量約6トンのスペースデブリ(宇宙ごみ)となっていた。11年9月9日、NASAは同月下旬~10月上旬にUARSが大気圏に再突入することを発表。その際、大部分は大気圏で燃え尽きるものの、一部が地上へ落下する可能性があることを報告した。NASAのリスクアセスメントによれば、燃え尽きない部品は計26個、合計532キログラムあるという。これらの破片が落ちる可能性があるのは、赤道を挟んだ北緯57度~南緯57度と広範囲で、日本も含まれる。なお、被害が出る可能性は極めて少ないとし、人的被害の出る確率は3200分の1、「自分に当たる確率」にすると21兆分の1とした。同月24日、NASAはアメリカ東部時間の23日午後11時23分~24日午前1時9分(日本時間24日午後0時23分~午後2時9分)の間に衛星が地上に落下したと発表。燃え残った部品は太平洋に落ちたとの見解を示した。