未発達の雨雲に向けて化学物質を撃ち込み、人為的に雨を降らせるための装置。降雨のタイミングを早めたり、降雨場所をコントロールすれば、無用な雨雲を消すこともできるので、人工消雨弾とも呼ばれる。北京オリンピック開会式が行われた2008年8月8日、中国の北京市気象局は、会場付近に近づきつつある雨雲を到達前に消すため、ヨウ化銀を搭載したロケット弾の使用を決定。北京市内21カ所に設けられた発射施設から、約7時間40分にわたって、合計1104発を打ち上げた。1000m上空に散布されたヨウ化銀は、雲の中の水分子と結合して氷の粒を作り、地上に落下する過程で水蒸気を集め、雪片から雨粒へと変化する。ヨウ化銀は微弱な毒性をもつため、人工降雨による人体への影響を、問題視する声もある。中国では1958年ごろから、水資源確保や干ばつ対策を目的として、人工降雨ロケット弾の開発と打ち上げを行ってきた。ただし、雲のない場所に雨雲を作って、雨を降らせることはできない。