日本国政府が所有するいわゆる偵察衛星で、ミサイルによる先制攻撃などを防ぐために安全保障上必要な事前情報の収集を目的とした人工衛星。昼間の晴天時に観測する光学衛星と、夜間や曇天でも観測が可能なレーダー衛星の2基を1組とし、2組(4基)で1セットの体制で、地球上400~600kmの太陽同期準回帰軌道上を周回して地上の情報を収集する。光学衛星の最大分解能は1~5m、レーダー衛星に搭載する合成開口レーダーの解像度は1~5mである。従来、日本は安全保障上の衛星画像をアメリカの偵察衛星や商業衛星から得ていたが、1998年8月の北朝鮮によるテポドン発射を受けて、自前の監視体制を整えるため、情報収集衛星の導入が決定された。2003年3月、H-2Aロケットによって光学1号機とレーダー1号機の2基の打ち上げが成功。続く同年11月に各2号機が打ち上げられたものの、H-2Aロケットブースターの分離トラブルにより、指令破壊された。06年9月に光学2号機を打ち上げ、さらに、天候不順で3回の延期後、07年2月24日に、光学3号機とレーダー2号機(各2、4号機と称したもの)の打ち上げに成功。これにより光学衛星3基、レーダー衛星2基となり、ようやく本格運用体制が整った。各衛星の寿命は約5年のため、今後09年度、11年度と逐次、後継機の打ち上げが予定されている。