人の動作や運動から、電気的なエネルギーを得ること。自転車の前輪脇に設置する発電機付きライトなどは、古くから浸透している代表例。モーターに電気を流せば、その軸が回転するわけだが、逆に軸を人為的に回転させれば、電気の流れが生じる。ハンドルを回すことで作動する災害用ラジオなども、この原理の応用例。昨今では、この応用をさらに発展させ、圧力によって電気エネルギーを生み出す「圧電素子」というデバイスもある。2008年1月19日~3月初旬まで、JR東京駅の一部改札などでは、これを床に並べて、その上を歩行する人々の重みや振動から電力を得ようとする「発電床」の実験が行われている。また、同様の発想で、靴底に圧電素子を組み込んだ靴なども提案されてきた。一方、カナダのサイモン・フレーザー大学などの研究チームは、ひざを起点にした足の動きから高効率で電気エネルギーを得る発電装置を開発、08年2月8日付の「Science」誌で発表した。ひざの保護装具のようなかたちで足に装着するもので、発電装置はひざの外側に位置する。歩行時において足を振り出し、踏み込む際に生じる、本来はももの裏などの筋肉で制御している「余分な力」を利用して、ギアを回す。実験では、両方の足に装着してランニングマシンの上を歩行した際、5Wほどの電力を得られたといい、これは同様の装置を靴底に仕込んだ場合の約10倍にもなり、携帯電話10台を同時に作動させられる電力に相当する。