体細胞クローン技術を使って、絶滅したマンモスを復活させるというもの。マンモスは、1万年以上前の氷河期にヨーロッパや北アメリカ、アジア北部などの北半球に生息したゾウ類で、全身を覆う茶黒色の長毛と上方に湾曲した長い牙が特徴。シベリアの永久凍土などから発掘されたマンモスの死体から、冷凍状態の細胞や精子を取り出しクローンを作成する研究が、日本やロシアなどで進められてきた。2010年1月、近畿大学生物理工学部の入谷明教授らが、マンモスの冷凍組織から正常なDNAを取り出す技術を確立したと報道された。クローンマンモス誕生に向けて研究を本格化させるという。研究では、現生種の雌ゾウから卵子を取り出し核を抜いておき、そこへ冷凍組織から取り出したマンモスの核を注入。マンモスの遺伝情報をもったクローン胚を作成、培養した上で、代理母となる現生種の雌ゾウの子宮へ戻し出産させるという。動物のクローン作成については、1996年に世界初のクローン羊として話題となった「ドリー」を皮切りに研究が進み、2008年には理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの若山照彦博士らが、16年間保存したマウスの凍結死体からクローンマウスを誕生させることに世界で初めて成功。1997年からクローンマンモスの研究を始めていた入谷教授らは、若山博士に協力を仰ぎ、マンモスの核移植研究を進めてきた。今後は、全国の動物園にも雌ゾウの卵子提供を呼びかけ、ロシアやアメリカの研究者とともに研究を行っていくという。