火山噴火の際に発生する火山弾や火山灰、それらから発生するガスなどが一体となった高温の雲の固まりが、火山の斜面を急激に流下する現象。速度は時速数十キロから数百キロ、温度は数百度に達する。火山の火口では溶岩が固まってこぶ状になった溶岩ドームが現れることがあり、火砕流はそれが爆発、あるいはその一部が崩れることで起こるほか、火口から溶岩や噴煙が直接流れ出して発生することもある。2011年1月から始まった鹿児島県の新燃岳の噴火でも、溶岩ドームが確認されている。また、火砕流の周辺では、高温のガスが爆風(火砕サージ)となって吹きつけ、斜面をはい上がったり、横に広がるなどして、火砕流本体より広範囲に被害をおよぼす。1991年6月に発生した、長崎県の雲仙普賢岳の噴火における火砕流では、報道関係者や防災関係者ら43人が死亡する大きな被害が出たが、ほとんどが、この火砕サージによる犠牲者だったといわれている。