海の表面の温かい表層水と、海底深くの冷たい深層水の温度差を利用した、海洋エネルギー発電の一つ。英文の頭文字を取って、OTEC(オテック)と呼ばれる。沸点の低いアンモニアなどを表層水で沸騰させ、その蒸気でタービンを回して発電、深層水で蒸気を冷やして液体に戻すというしくみ。海洋温度差発電では平均20℃以上の温度差が必要とされ、日本では沖縄、鹿児島、小笠原諸島などが立地に適しているとされる。原理の発明は古く、フランスの物理学者ダルソンバールが1881年に発表した。日本では、佐賀大学の上原春男元学長(現・NPO法人海洋温度差発電推進機構理事長)らが長年研究に取り組み、発電効率を高めた「ウエハラサイクル」を1994年に発表、佐賀県伊万里市で実証実験を行ってきた。2011年10月19日、佐賀大学と神戸製鋼所による新たな実証実験が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「次世代海洋エネルギー発電技術研究開発」に採択された。鹿児島以南を候補地に、13年から実施する予定。