岡山理科大学専門学校の山本俊政アクアリウム学科長らが開発した、淡水魚と海水魚が混泳できる不思議な水。ヒラメやカレイ、サワラなどの海水魚と、コイや金魚などの淡水魚が、一つの水槽で共生が可能な人工海水。生物の細胞の塩分濃度は約0.9%のため、3.3~3.5%の塩分濃度の海水の中では、海水魚は海水が体内に入っても、細胞内の水分が流れ出さないように、浸透圧を高めて適応している。海水中にはナトリウムやカリウムなど、およそ60種類の成分が含まれており、海水魚の浸透圧調整に必要な成分を実験で調査し、その比率を発見した。好適環境水は、海水魚が生きるために不可欠なカリウムやナトリウムを少量溶かすことで、海水魚と淡水魚がともに生きられる環境を実現する。この好適環境水の製造は、学校が海まで遠く、実験用の海水が調達しにくい上に、従来の人工海水が高価なことから、代用の人工海水の製造実験として始められた。しかし、これを使えば、海から離れた山中でも海水魚の養殖も可能にするなど、新たな山中振興策の一つになるものとして注目されている。