サハラ以南の西アフリカ地域に多い寄生虫の一種で、白い糸状の線虫。ギニア虫、メジナ虫とも呼ばれる。人間への感染は、幼虫が寄生するミジンコに汚染された水を飲むことによって起こる。人間の体内に入った幼虫は、腸管から腹腔に出て寄生し、約1年で成虫に発育する。オスは体長3~4センチと小さいが、メスは70~120センチに成長し、産卵期になると感染者の足の皮膚の下へ移動する。その際、皮下に水泡や潰瘍を引き起こし、感染者の足が水場などに入ると、皮膚を突き破って体外に産卵する。感染初期には症状が現れず、成虫が体内を移動するようになってから、強いかゆみ、頭痛、骨膜炎、じんましんなどが起こる。薬やワクチンはないが、布製のフィルターなどで飲み水を濾過(ろか)すれば予防できる。アメリカのジミー・カーター元大統領が設立した非営利組織、カーターセンターが1986年から撲滅運動を主導。86年には21カ国で350万人の感染が確認されていたが、2012年には南スーダンなど4カ国の542人にまで減少した。同センターは13年1月、ギニアワームによる感染症を数年以内にも根絶できる見通しになったと発表している。