水生植物やコケ類、スゲ、アシなど湿地帯に多い植物が、腐敗バクテリアの影響を受けずに堆積し、地表近くで生化学的変化を受けて生成されたものが泥炭。北海道や北欧、シベリアなどの寒冷地や熱帯の湿地に多く見られる。インドネシアでは、1980年代ごろから、この泥炭に焼き畑や森林開発の火が延焼して起こる火事が相次ぎ、時には何週間、何カ月も続く大規模な火災になることもある。熱帯地域の半分以上を占めるとされるインドネシアの泥炭は、これまで湿地の水に守られてきた。しかし、近年農地化のために排水されて乾燥し、エルニーニョ現象による異常乾燥も手伝って、引火しやすくなっているのだという。また、乾燥・分解の過程で、これまで閉じ込めてきた二酸化炭素(CO2)を放出することも判明。年間排出量は火災が14億t、分解が6億tとも言われ、これは日本の総排出量13億tを上回る規模で、地球温暖化にも大きな影響があると懸念されている。