昭和電工と山口大学の執行正義(しぎょうまさよし)教授が植物工場向けに開発した、LEDを使って、植物の種類や生育過程に合わせた最適な光照射を行う方法。その栽培法の確立とともに、ライセンス供与や栽培設備の販売開始が、2012年5月9日に発表された。植物の生育に光は欠かせないが、光には波長が長い赤色から波長が短い青色までさまざまな色があり、植物にとって有用な色、すなわち有用な波長の光は限られている。たとえば、植物が光のエネルギーを利用して有機物を合成する光合成(photosynthesis)の場合、クロロフィルという物質が波長660~700ナノメートルの赤色光を吸収する(「ナノメートル」は10億分の1メートル)。また、植物が光の条件によって分化や成長を制御される光形態形成(photomorphogenesis)の場合、近紫外-青色光吸収たんぱく質が波長450~470ナノメートルの青色光を、フィトクロムという色素が波長660~730ナノメートルの赤色光を、それぞれ受容する。LEDは電球や蛍光灯などと違って、光合成や光形態形成に適した特定の波長の光だけを作り出すことができ、消費電力も蛍光灯の3分の1ほどに抑えられる。従来の植物工場では、こうした赤色光と青色光の比率が固定されていたのに対して、Shigyo法では、その植物ごとの成長過程や、必要とする光の条件に合わせてこの比率を変え、最適な波長の光を照射することで生育を促進する。結果、蛍光灯や従来の植物工場用LEDを使った場合と比べて、同じ期間で最大3倍ほども収穫量が増えるといい、出荷サイクルの短縮と収穫量の増大を両立させた効率的な栽培法を実現する。藻類の培養にも有効であり、昨今注目される藻類由来の有用物質やバイオ燃料の生産への応用も期待できる。