京都大学の平竹潤(ひらたけじゅん)教授が開発代表者を務める大学発ベンチャー企業「ナールスコーポレーション」が製造販売をはじめるアンチエイジング化粧品成分。同教授が設計・合成したアミノ酸の誘導体「GGsTop(和光純薬工業株式会社の登録商標)」の商品名。「NAHLS」は「Nippon Amenity Health (based on) Life Science」に、「gen」は「源」に由来する。生体内で活性酸素や重金属などの有害物質の除去に貢献しているGGT(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)の働きを阻害し、細胞に軽いストレスを与えることで、逆に細胞がもともと備えている抵抗力や回復力を引き出す特性をもつ。表皮の下にある真皮の線維芽細胞に働きかけ、(1)硬い線維を作り出すコラーゲンの産生を2~3倍促進するとともに、(2)それらを三重らせんの正しいコラーゲン線維に成熟させるたんぱく質の合成も促進し、(3)柔軟な線維を作り出すエラスチンの産生も1.5倍以上促進することによって、皮膚の張りや弾力、つやを保つ。さらに、(4)紫外線による活性酸素の生成を減らす効果や、(5)表皮を構成する角化細胞の増殖を促進する効果ももつため、肌の光老化を軽減させつつ、傷ついた細胞の新陳代謝を促進して、しみやくすみを除去するなど、多方面からの相乗的な効果をみせる。共同で研究開発を行った(株)ドクターシーラボが実施した、ナールスゲンを0.005%含ませた化粧水によるモニタリングテストでも、保湿効果や肌の弾力の向上、しわの改善効果が実証されており、一方で、細胞レベルの実験や動物実験も含め、毒性、刺激性、副作用は認められていない。ナールスコーポレーションは科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援事業(A-STEP)の支援のもと設立され、(株)ドクターシーラボや大阪市立大学と行った共同研究の成果などとともに2012年3月13日に発表された。