人が歩行する際に発生する振動や圧力から、電気エネルギーを得るシステムで、シート状の発電ユニットとして床に敷く。圧力のように直接的な力を電気に変換する圧電体は、実生活の中でも、ガスコンロを点火する際に電気のスパークを発生させる装置などに利用されている。こうした圧電体を電子部品として利用する圧電素子をシートの上に並べ、これを駅の改札口など、大勢の人が着実に通過していくスペースに設置する「発電床」の実証実験が、2008年12月10日~09年2月初旬まで東京駅で行われる。実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とジェイアール東日本コンサルタンツによるもので、06年から毎年行われ、今回で3回目となる。シート状の発電ユニットは、40cm×40cmのゴムマットに圧電素子を並べた構造で、過去の成果を踏まえ、(1)圧電素子自体の性能向上、(2)力の伝わり方の効率を追求し、素子の形状と配置を改良、(3)歩きやすさの向上のため、歩行面の素材をゴムからタイルに変更、(4)設置面積の合計を約25平方メートルに拡張、などといった改善がなされた。設置場所は、東京駅の八重洲北口改札や階段などで、06年当初は約0.1W秒だった「改札1人通過当たりの発電量」を約10W秒まで引き上げ、1日当たりでは、40WのLED照明を約17時間点灯できる1400kW秒を目指す。将来的には、自動改札機や電光表示器などの電力として利用することが考えられている。