原子番号38の元素(元素記号Sr)で、アルカリ土類金属の1つ。天然には天青石やストロンチアン石などの鉱物中に存在する。人工的な放射性同位体として、原子力発電の燃料であるウランが核分裂する際に生成されるストロンチウム89(Sr-89)、ストロンチウム90(Sr-90)がある。ともにベータ線(β線)のみを放出するが、放射線の強度が半分になる半減期はSr-89が約50日と短いのに対し、Sr-90は約29年。ストロンチウムはカルシウムに似た化学的性質をもつため、人体に入ると骨に沈着して骨髄腫や造血器の障害を引き起こす恐れがある。また、水に溶けやすいので土壌の深い場所まで届き、植物に吸収されやすい。2011年3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の津波による福島第一原子力発電所の事故に際しては、4月12日に文部科学省が、福島県内で採取した土壌と植物からSr-89とSr-90を検出したもののごく微量で、健康への影響はないと発表している。