原子力発電所の使用済み燃料などに含まれる、超ウラン元素の体内汚染を軽減させる医薬品。2011年7月1日、ペンテト酸カルシウム三ナトリウム(商品名「ジトリペンタートカル」)、ペンテト酸亜鉛三ナトリウム(商品名「アエントリペンタート」)の2剤が厚生労働省によって承認された。製造元は、ドイツの製薬会社Jenahexal Pharma社。日本での製造販売は、日本メジフィジックス株式会社(本社・東京都江東区)が行う。超ウラン元素とは、原子番号92のウランよりも原子番号が大きい放射性元素の総称で、自然界には存在せず人工的に作られる。本剤は、人体に深刻な健康被害をもたらすプルトニウム、アメリシウム、キュリウムといった超ウラン元素に効果があるため、原発事故や放射能テロに備え、10年5月に厚生労働省が製薬会社に開発を要請した。用法は1日1回の点滴静注、または静脈へのゆるやかな投与。すると有効成分のジエチレントリアミン五酢酸(ペンテト酸 ; DTPA)が、キレート結合という化学反応で超ウラン元素を吸着し、尿の中に排出させる。海外ではアメリカ、ドイツ、フランスでも承認され、放射性セシウム体内除去剤のヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)水和物(商品名「ラディオガルダーゼ」)とともに、緊急被曝医療の標準薬に位置づけられている。