地球温暖化などの気候変動、災害や戦災から農作物種の絶滅を防ぎ、多様な品種を維持することを目的に、各国から農作物の種子を預かり冷凍保存する施設。2010年7月にアメリカ合衆国からトウガラシの種子が到着したことでニュースとなった。種子庫は、ノルウェー政府がノルウェー領スピッツベルゲン島ロングヤービーエンに建設し、08年2月26日にオープンした。永久凍土層を掘った120メートルのトンネルの奥に3保管庫を設け、約450万種の収容能力がある。同様の保管施設はほかにも存在するが、スバールバル全地球種子庫は世界最大級で、植物版「ノアの箱船」とも形容される。国連食糧農業機関(FAO)と国際生物多様性機関によって設立された国際機関のグローバル作物多様性トラストが運営する。農作物の維持には環境の変化に対応できる多様性が必要とされる。しかし、現在の農業は一品種の大規模栽培が広がり、また、自然災害や紛争などによって急速に多様性が喪失しつつあることから、保存施設が建設された。