失業や健康問題など、さまざまな事情で生活上の困難に直面している人に対し、パーソナル・サポーターと呼ばれる専門員が、公的サービスのコーディネートなど、自立に向けた個別支援を行う仕組み。生活保護受給者に対するケースワークなど類似の仕組みはあるが、パーソナル・サポート・サービスは予防的な支援も含めた継続的かつ制度横断的な支援である点で、役割が異なる。2013年度からの制度化に向けて、現在、神奈川県横浜市など全国26カ所でモデル事業が実施されている。パーソナル・サポート・サービスが必要とされる背景として、たとえば貧困には失業、多重債務など経済的な問題、家庭内の問題、うつなど精神保健上の問題といった複数の要因が複雑に絡んで、悪循環を招いているケースが多いことが挙げられる。一方、生活保護や就労支援など現行の支援体制は、対象者をそれぞれ限定して構築されており、問題の全体像を捉えて本当の自立に結びつけることが難しい。こうした現実に対応するため、10年当時、内閣府参与を務めていた反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠がイギリスの「パーソナル・アドバイザー」制度などをモデルに制度導入を提言、同年の「新成長戦略」で「21の国家戦略プロジェクト」として位置づけられた。以後、政府の緊急雇用対策本部「パーソナル・サポート・サービス検討委員会」で制度化に向けた議論が進められている。