海洋研究開発機構(JAMSTEC)が開発した自律式無人探査機(AUV ; autonomous underwater vehicle)の新型機。2012年4月5日に公開された。日本の排他的経済水域(EEZ)内で、レアメタルを含む熱水が海底から噴き出す熱水鉱床などの資源探査を目的とする。船体のサイズは全長5メートル、重量2.7トン。潜航可能深度は3000メートルで、巡航速度は2~3ノット(大人の歩く速さぐらい)、16時間程度の航行能力をもつ。自律式で、あらかじめ指示された情報に基づき自らの位置をコンピューターで計算しながら航行するため、有線やリモコン操作が不要で航行の自由度が高い。海底付近での調査は、潮の流れの中で一定の姿勢を保ちながら直進でき、かつ、180度回転して並行に往復するという、相反する動作が必要になる。この性能を同時に満たすため、スタイルは前後がすぼまった筒形で、4台のスラスター(推進システム)と前後に4枚ずつ、計8枚の姿勢制御用の羽根がついている。これによって、一定の姿勢を保ったまま、搭載した音波探査装置、磁力計で複雑な構造の熱水鉱床を詳細にとらえ、数十センチ単位の海底地形図が作成できるようになっている。総開発費は約8億円。13年度からの調査開始をめざす。「ゆめいるか」は、名称を一般公募し、応募のあった1173件のなかから、「夢を拓き、イルカのように泳ぐ姿を連想させる」として、選ばれた。なお、「ゆめいるか」とともに、海底の二酸化炭素濃度や酸性度を測定する「じんべい」(全長4メートル、重量1.7トン)、「おとひめ」(全長2.5メートル、重量0.85トン)2台のAUVも公開され、JAMSTECのAUVは、すでに運用中の「うらしま」に加えて4台となる。じんべい、おとひめは、それぞれ12年夏と秋に訓練潜行に入る。