ドライバーが気付かないような、不意をつく他車などの動きを感知して、自律的に衝突や接触を回避する機能をもつ自動車の通称。先端技術や情報通信、制御技術を駆使して、道路の渋滞や事故などの情報を感知しつつ、円滑な交通を実現させようとする、ITS(Intelligent Transport Systems)の範疇(はんちゅう)に入る。日産自動車は、2008年11月16日からニューヨークで開催された「第15回ITS世界会議」に、2台の「ぶつからない車」の実験車を出展。一つは、車両の側面と後部に設置したセンサーで各輪のブレーキを個々に制御するシステムによって、走行中の車線変更や駐車場からバックで出て行く際の衝突を防ぐ効果をもつもので、「全方位運転支援システム搭載プロトタイプ」と呼ばれ、08年8月に発表されている。もう一つは、路上に設置した発信装置やGPSと連携する、より大がかりで高度なシステムを搭載するもので、「インフラ協調型ITSプロトタイプ」と呼ばれる。後者は、(1)赤信号の交差点を前に、適度な減速がなされない場合に警報を出すシステム、(2)交差点を左折(アメリカでのデモンストレーションのためで、日本での右折に相当)する際に、対向車の接近を知らせるシステム、(3)非優先道路から信号機のない交差点に入ろうとする際、左右から接近する車両の存在を知らせるシステム、(4)前方の信号が赤のとき、停止線で自動停止するシステム、という四つの系統の連携によって成り立つ。