紙や食品のゴミ、廃木材などのバイオ系廃棄物から電力やメタノール(メチルアルコール)を得る新エネルギー技術。農林水産省が木質系バイオマス(動植物資源)用に開発してきた技術をもとに、清水建設が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発したもので、東京都江東区にある同社の東京木工場に実証プラントを設置。2009年10月から約2年間の実証実験を行う。システムは、原料となる廃棄物をガス化する(1)浮遊外熱式高カロリーガス化装置と、ガスの一部をメタノールに変換する(2)多段メタノール合成装置の二つのユニットで構成され、ともにバスの車両ほどの大きさとなる。(1)は、廃棄物のうちの木のチップを燃焼した約900℃の高熱で外部から炉を熱し、そこに3mm以下に粉砕した廃棄物を投入、一瞬のうちに可燃成分80%の高カロリーガスに変えるもの。このガスは、水素、一酸化炭素、メタンガスを含み、発電用の燃料として使用する。(2)は、燃料として使用しなかったガスを長く折り畳んだ管に通し、約20気圧・210℃のもとで触媒と作用させ、97%という高純度のメタノールに変換するもの。この圧力と温度は通常のメタノール化の工程よりも低く抑えているうえ、(1)の熱源を利用しており、装置自体の小型軽量化も達成している。実証運転では、廃棄物の約6割をガスの原料とし、約4割を熱源の燃料にすることになり、1kg当たりの廃棄物から1時間で約1kW相当となるガス発電量と、約400ccのメタノールを得られる。このメタノールはバイオマスを原料とするためバイオメタノールと呼ばれ、トウモロコシなどから作るバイオエタノールのように微生物による分解や発酵の工程がなく、短時間に効率よく生成可能な利点ももつ。