原子力発電所の事故や故障などを測る国際原子力・放射線事象評価尺度(国際評価尺度 INES)で、最も深刻な事故とされるレベル。国際評価尺度は国際原子力機関(IAEA)と経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)が策定し、1992年3月に加盟各国に提言した8段階の安全上の指標で、日本も同年8月1日から運用している。レベル0は「尺度未満」として「安全上重要ではない事象」と評価し、日本ではさらに0マイナス、0プラスの2段階に分ける。レベル1は「逸脱」、同2は「異常事象」、同3が「重大な異常事象」で、1~3までは「異常な事象」とされる。4~7までは「事故」で、レベル4は「局所的な影響を伴う事故」、同5は「広範囲な影響を伴う事故」、同6は「大事故」、同7は「深刻な事故」とされる。レベル7は、人と環境に対し「計画された広範な対策の実施を必要とするような、広範囲の健康および環境への影響を伴う放射性物質の大規模な放出」を基準として認定される。2011年4月12日、日本政府は、3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)により炉心溶融を起こした福島第一原子力発電所の事故に対し、レベル7と暫定評価した。放射線の影響がヨウ素131に換算して、原子力安全・保安院の概算で37万テラベクレル、原子力安全委員会の発表値で63万テラベクレルと、レベル7に相当する数万テラベクレルを超える値となったために決定した。レベル7は1986年に旧ソ連のウクライナで起きたチェルノブイリ原発事故と同評価となる。ただし、福島第一原発からの放射性物質の放出量は、チェルノブイリ事故の1割程度としている。