過去の工業製品や各種機器など、幅広い技術的な資料の中から、「科学技術の発達上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの」や「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたもの」として選び出され、国立科学博物館(東京都台東区)の「重要科学技術史資料登録台帳」に登録された文化財。未来技術遺産という愛称で呼ばれることも多い。同館の研究成果学協会や業界からの推薦などをもとに、同館の産業技術史資料情報センターが資料所有者と連絡を取り、同意を得たうえで同館館長が重要科学技術史資料登録委員会との諮問・答申を経て、登録を実施する。登録された資料の情報は、同館のホームページ(http://www.kahaku.go.jp/)を通して公開され、所有者には登録証を交付するとともに、記念盾を授与することになっている。初の実施となった2008年度から12年度までの間に、芝浦製作所(現・東芝)の「特別高圧油入変圧器」(1910年製作)、日立メディコの「コンピュータ処理X線断層システムCT-H」(75年製作)、ソニーの「ステレオカセットプレーヤー『ウォークマン』一号機TPS-L2」(79年製作)、宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)の「H-IIロケット7号機」(97年製作)など、家庭用機器から医療用・工業用の機器、船舶や航空宇宙部門の機器など、その後の日本の科学技術の進展に寄与した、多岐にわたる113の技術史資料が選出されている。