2008年度より、東京大学空間情報科学研究センター(CSIS)が行っている、大量の人の動きを収集・解析し、正確な動線データを把握する方法論などを研究するプロジェクト。人の流れに関する情報は、これまでも都市計画や防災、商業施設の建設など、さまざまな分野で活用されている。代表的なのが、国や自治体が行っているパーソントリップ調査で、これは個人が、何時に、どこに、どういった交通手段で移動し、目的地に何時に着いたかといった平日の1日の行動を調べるというもの。ここから得られた静的データで交通手段の種類や頻度などを解析することができる。CSISでは、このパーソントリップ調査のデータに、ICタグやGPSによる位置情報、道路や鉄道の経路検索結果など、個人が持つ多種多様な位置情報を加えることで、時間経過にともなう動的なデータを効率的に生成できる「動線解析プラットフォーム」を構築。これにより処理されたさまざまな地域の人の流れデータを提供したり、取得済みのGPSデータの誤差を補正するサービスなどを行っている。12年11月、同プロジェクトの東京大学上山智士特任研究員が作成した、東日本大震災当日の人々の流動状況の動画がYouTubeで公開された。CSISと共同研究を行っているゼンリンデータコムの「混雑統計」データを利用したもので、地震前と地震直後の人の流れがひと目でわかるようになっている。