亜熱帯・熱帯海域に広く生息する、エイ目イトマキエイ科オニイトマキエイの別名。学名Manta birostris。「つばさ」とも呼ばれる巨大な胸鰭(びれ)が特徴で、ひし形に近い扁平な体形をしており、大きな個体では横幅が7~9メートルにもなる。エイの仲間でも最大級。頭部前方に突出した一対の小さな頭鰭、鞭(むち)状の長い尾を有しており、背面は黒色で、腹面は白色。泳ぎながら頭鰭の間にある口で動物プランクトンを捕食し、性格は温厚である。高速で泳ぐこともでき、時には空中に高く飛び跳ねることもある。繁殖は1~3年に1度で、1~2匹を産む。交尾後、卵はメスの体内で孵化(ふ化)し、子どもは成魚と同じ姿で誕生する。大きなひれを上下させ、優雅に泳ぐ姿はダイバーから高い人気を集めているが、近年、目的外の魚まで捕獲してしまう混獲や、中国などでの食用としての人気の高まりから乱獲による個体数の急激な減少が報告されている。これをうけ、2013年3月にタイで開催されたワシントン条約締約国会議において、マンタを取引規制の対象とすることが承認された。