重力がほとんどない宇宙空間で起こる体の不調。初めて宇宙飛行にのぞんだ宇宙飛行士の3人に2人が経験し、吐き気、嘔吐、頭痛、頭重、虚脱感、倦怠感、食欲不振など、乗り物酔いに似た症状が出る。通常、宇宙空間に入って1~2日目にかかるが、早い人だと数分ないし数時間以内には吐き気をもよおす。ただし一過性で、症状は次第に軽減し、3~5日目には消失する。2回目以降の宇宙飛行では、かかりにくいのも特徴。詳しい原因は不明だが、仮説として、耳の奥にある前庭器官で感じる平衡感覚、全身の筋肉や腱で感じる身体感覚が、無重力の影響で得られなくなり、姿勢と視覚とのバランスが狂って、脳が混乱するため起こると考えられている。また、宇宙空間では血液が頭部へと集まるので、脳が少々むくみ気味になることも関係するのではないか、ともいわれている。2011年5月10日より、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在中の古川聡宇宙飛行士が、14日、ツイッターを通じて自らの宇宙酔いを報告した。