日本の化学・化学技術史に関する歴史的な資料などのなかから、日本化学会化学遺産認定委員会が認定した、世界に誇るべき化学関連の文化遺産。2010年の第1回は、「化学」という学問を初めて日本に体系的に紹介した江戸時代後期の津山藩医で蘭学者の宇田川榕菴(うだがわようあん 1798~1846)の化学関係の資料を認定化学遺産第001号として認定したのを始めとして、高峰譲吉とともにアドレナリンを発見し結晶化した上中啓三(うえなかけいぞう 1876~1960)の「アドレナリン実験ノート」(第002号)、うまみ成分であるグルタミン酸を昆布から抽出・同定し、調味料として製法を確立した池田菊苗(いけだきくなえ 1864~1936)の「具留多味酸」(グルタミン酸)の試料(第003号)などの他、「ルブラン法炭酸ソーダ製造装置塩酸吸収塔」(第004号)、「ビスコース法レーヨン工業の発祥を示す資料」(第005号)、「カザレー式アンモニア合成装置および関連資料」(第006号)の、学術関係3件と化学技術関係3件、合わせて6件を認定した。今後も毎年4~5件ずつ選出するとともに、所有者らに保存を呼びかけることにしている。