アメリカやヨーロッパで2006年10月ごろから起きている、大量のミツバチが群れごと、突如として消え去る現象。ミツバチが帰巣せず、残された巣箱には幼虫や女王蜂が残されていることが多く、死骸(しがい)の痕跡が発見されることもない。日本ではいないいない病として報じられたこともある。ウイルス説、携帯電話の電磁波の影響説、遺伝子組み換え作物による影響説、ストレス説、寄生ダニ説、ネオニコチノイド系の農薬説、温暖化による影響説などを含む単独要因、複合要因があげられるが、明確な原因が不明なことからコロニー崩壊症候群と命名されている。アメリカでは、アーモンドからズッキーニまで100種以上の農作物の栽培をミツバチに依存し、生産業者は養蜂家(beekeeper)からミツバチを借りて受粉を行っている。ところが、アメリカ本土の36州にCCDが広がり、ミツバチ全体の4分の1が消失したとされ、農作物の出荷に影響が現れ始めている。一方、日本でも大量死などによって受粉用のミツバチが不足。農林水産省は全国21の都県でミツバチが不足しているとの調査結果を、09年4月に発表している。大量死の原因として、農薬や寄生ダニなどが疑われているが、日本での不足の最も大きな要因は、輸入ミツバチの不足である。日本へのミツバチの主要供給国であるオーストラリアでは、CCDの原因の一つと疑われるイスラエル急性麻痺(まひ)ウイルス(IAPV Israeli acute paralysis virus)が広まり、07年10月から日本への輸入がストップしている。農水省では、アルゼンチンから女王蜂を輸入するための協議を08年から行っているが、交渉を急ぐことにしている。