ワイヤレス給電とか、非接触給電ともいう。携帯電話やパソコン、テレビや電気自動車などの電気製品に電源コードを接続することなく給電・充電を行うシステム。電池を備えたり、太陽電池や燃料電池などを備えた一部を除き、ほとんどの電気製品は電源コードを介して電力を供給し充電を行っているが、時間の長短に限らず、電源コードに束縛されることになる。無線給電には電磁誘導方式と磁界共鳴方式とがある。電磁誘導方式は、送電コイルと受電コイルの間で生じる起電力を利用する仕組みで、送受電コイルを近接させ、緊密な位置合わせが可能であれば伝送効率は約70%を期待できるが、位置がわずか数センチメートルずれるだけで効率は50%以下になるとされる。一方、磁界共鳴方式は、電力の伝達を受け持つ送電デバイスと受電デバイスの間で起こした磁界を共鳴させることで送電する仕組みで、送受電デバイスの距離が数センチメートルから数メートル離れても送電が可能な技術開発が進行している。最近では、この方式を携帯電話機などへ取り込んだ試作品が各メーカーから発表され、実用段階に近づいている。一方、電気自動車への無線給電としては電磁誘導方式を使った実証実験が、2009年11月に奈良市の奈良公園周辺で行われている。1周5キロメートルの電動バスの巡回路線の停留所に充電スポットを設け、バスが停車場の送電コイルの上に停車すると自動的に充電が開始され、7分程度で完了する仕組みとなっている。遠くない将来、無線給電により、ほとんどの電子・電気機器が電源コードを接続する煩わしさから解放されることになるものとみられている。